全力でぶつかり合うことが互いを高めあうんだよな!やっぱり!という話を久しぶりに読んだので思わず書き留めることにします。
中学生の頃はとにかくマンガに熱中していました。読むのも描くのも。『うる星やつら』が好きだったこともあって、ジャンプではなくサンデーを愛読してました。そんなときに、出会った作品の一つでとても好きだったのが島本和彦先生の作品でした。デビュー作『炎の転校生』の直後、その頃まだまだ新人だった島本先生が描かれていた作品が『風の戦士ダン』というマンガで、結構シリアスなストーリーなのにちょいちょい茶々が入って来る妙なビートを刻むマンガだったのを覚えています。原作に巨匠の雁屋哲先生(『美味しんぼ』の原作)が配置されてる、想像するに、新人漫画家を育てる過程での試練の仕事だったんだろうなと思います。島本先生自身がその後どこかのインタビューか何かで、アレは少し若気の至りで色々ありまして、みたいなコメントを残されていたのを読んだ記憶があるので、なかなか当時の現場は大変だったんだろうなと思っていました。野球で例えるならベテランピッチャーで仕事に厳しい阪神下柳のリードを突然まかされる若手キャッチャー狩野、の関係みたいなもんでしょうか。分かりにくいか。
先日サンデーとマガジンが50周年で記念パーティーをして、そこに大勢の漫画家の先生や編集者の方々が集まったらしいのですが、そこで両先生が、実にその連載以来再会されたらしいのです。島本先生は、若かったその頃のほろ苦い思いがあるので内心不安ながらの再会だったようです。
島本の感想文 | サンデーマガジン50と代々木アニメーション講演.
きっと雁屋先生は私とのこと(仕事)は黒歴史なんだろうと
そうずっと解釈しておりまして
きっと私のことを怒ってらっしゃると思っていたのですが…
…きっと会いたくもないんだろうなぁと…
しかし... (続き)
なるほどやっぱり25年も経てば時間が解決することもあるんだろうなあと思ってその再会のお話を見ていたんですが、実は真実はもっと深いところにあったようです。
こちらから後日アップされた、雁屋先生側のストーリーを読んでみてください。実は雁屋先生もその仕事によって大きくご自身のその後に影響を受けたというじゃありませんか!だから時間がどうこういうことではなくて、そもそもその仕事自体がお二人にとってとても意味のあるものだったということです。
少年サンデー・少年マガジン50周年記念合同パーティー | 雁屋哲の美味しんぼ日記.
じつはこの、島本さんとの出会いは私には大変大きかったのである。 それ以前、雁屋哲といえば暴力漫画、と決めつけられていた。 「風の戦士ダン」は現代の世の中に昔の忍者が登場して活躍したら面白かろうと思って書き始めたのだが、私としては原作にギャグを入れなかった。ところが、出来上がった作品を見ると、妙におかしいギャグが入っている。普通なら、私の原作にない物を入れたら私はかなり神経質に拒否するのだが、島本さんのギャグは面白いのである。担当編集者も、恐る恐る私に見せたのだが、私は「へええ、こんなことになるの」と怒るどころか、返って面白いと思った。(続き)
島本先生からすれば若さ故の反抗だったのかもしれませんが、自分のマンガスタイルを殺してまで巨匠にただ従うのではなく、正面から戦いを挑んだ、その結果が多分雁屋先生側にも伝わったんだろうなと思いました。真剣さがあったから通じたというか。ともかく熱かった(そして今でもなお熱さを失っていない)島本先生の、ウソの無い直球勝負が功を奏したということでしょうね。たぶん中途半端に日和りながらちょいちょい茶々を入れたり、とかだったら雁屋先生が激怒して終わりだったんだと思います。本気でぶつかり合うってやっぱり何かを生み出していくんですよね。
熱いプロのクリエイター同士の戦いの、一つの歴史的瞬間を見た気がします。ありがとうございました!しかしブログはこうやって真実のストーリーが本人の口から語られるから実に面白いですねえ。
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